
「スイミングスクール、月謝が高くない?」
子どもを通わせ始めてから、そう感じたことはありませんか?週1回通って月5,000〜8,000円。年間にすると6万〜10万円近くになります。
習い事の中でもスイミングは費用が高めと感じる保護者が多い。でもその理由を正確に説明できる人は少ないです。
私はスポーツ施設の運営に携わる仕事をしています。プールを含む複合型スポーツ施設の管理側として見えてきた、月謝が高くなる構造的な理由をこの記事で解説します。「高い」と感じていた月謝が、読み終わる頃には「なるほど」に変わるかもしれません。
スイミングスクールの月謝相場
まず全国的な相場を整理します。
一般的なスイミングスクールの月謝は週1回で5,000〜8,000円程度が主流です。週2回になると8,000〜12,000円前後まで上がります。
これに加えて入会金(5,000〜10,000円)、水着・キャップ・ゴーグルなどの初期費用、検定料なども別途かかるケースがほとんどです。
「近所の公共プールで泳げば無料なのに」と思う気持ちはわかります。ただスイミングスクールにはその月謝なりのコスト構造があります。
月謝が高い理由①:水道光熱費が桁違い
スイミングスクールの月謝が高い最大の理由のひとつが、水道光熱費の高さです。
プールは通常の施設と比べて、水道・電気・ガスのコストが圧倒的に高い。その理由は3つあります。
大量の水の維持コスト
25mプールの水量はおよそ500トン。これを常に清潔に保つために、ろ過装置を24時間稼働させ、塩素管理も継続的に行う必要があります。
水温管理のコスト
子どもが快適に泳げる水温は30〜31℃前後。これを年間通じて維持するためのボイラーやヒーターの燃料費は、施設にとって大きな固定費です。冬場は特にコストが跳ね上がります。
室温・湿度管理のコスト
プールエリアは湿度が高く、建物の劣化を防ぐために換気・空調設備を常時稼働させる必要があります。これも電気代に直結します。

月謝が高い理由②:インストラクターの人件費
もうひとつの大きなコスト要因がインストラクターの人件費です。
スイミングスクールでは安全管理上、コーチひとりが見られる子どもの数に限界があります。我が家の子どもが通うスクールでは1クラスおよそ10人前後。さらにレッスン中はプールサイドに安全管理専任のスタッフを別途配置しているスクールも多く、指導コーチ以外の人員も必要です。
つまり月謝5,000〜8,000円を払っている子どもが10人いても、その売上でコーチの人件費・安全管理スタッフの人件費をまかなわなければならない。
さらにインストラクターはレッスン以外にも、プールの監視・施設の清掃・レッスンメニューの作成・イベントの企画運営など多岐にわたる業務をこなしています。「泳ぎを教えるだけ」ではないのです。
コーチの月収は施設や経験によって異なりますが、同世代の平均と比べてけして高くはありません。それでも複数のコーチを配置しなければ安全なレッスンが成立しない、これが人件費コストを押し上げる構造です。
月謝が高い理由③:施設維持費・設備更新コスト
水道光熱費と人件費に加えて、見落とされがちなのが施設そのものの維持コストです。
プールは他のスポーツ施設と比べて、建物の劣化が圧倒的に早い。塩素を含む湿気が常に充満しているため、床・壁・天井・配管が傷みやすく、定期的な修繕が必要になります。
ろ過設備やボイラーなどの機械設備も高額で、故障すれば即座に数百万円規模の修理費が発生することもあります。これらの費用は月謝の中に少しずつ積み立てられている形です。
また安全基準を満たすための定期点検・水質検査も義務付けられており、これも固定コストとして積み上がります。
「プールは建てるより維持する方がお金がかかる」とよく言われるほど、ランニングコストが重い施設なのです。
それでもスイミングに通わせる価値はあるか
コスト構造を理解した上で、改めて問います。スイミングスクールは高いのか。
結論は「コストに見合った価値がある」です。
水泳は全身運動で、心肺機能・筋力・柔軟性をバランスよく鍛えられます。また水への恐怖心を克服することで、子どもの自信にもつながります。
さらに実用的な側面として、学校の水泳の授業で困らないという安心感は大きい。25m泳げるかどうかで、子どもの学校生活での自己肯定感が変わってくることもあります。
週1回・月5,000〜8,000円で、これだけの効果が得られると考えると、決して割高ではないというのが、施設運営側から見た正直な評価です。
無料体験で何を見るべきか
月謝の高さに納得した上で、次に大事なのがどのスクールを選ぶかです。
ほとんどのスイミングスクールは無料体験を実施しています。これは単に「泳げるか確認する場」ではありません。施設の質とスタッフの意識を見極める絶好の機会です。
①指導コーチ以外にラウンドスタッフがいるか
レッスン中、実際に泳ぎを指導するコーチとは別に、プールサイドを巡回するスタッフがいるかを確認してください。列から離れてしまった子や、ぼんやりしている子に声をかけられているかどうか。これが安全管理の意識の差に直結します。
②コーチの子どもへの接し方
怖がっている子への声かけ、できたときの褒め方、できない子への対応。技術指導だけでなく、子どもの気持ちに寄り添えているかを見てください。
③プールサイドの整理整頓・清潔感
施設の清潔さはそのまま管理意識の表れです。更衣室・シャワー室・プールサイドの状態も確認ポイントです。
月謝が同じでも、スクールの質は大きく違います。無料体験を複数のスクールで受けて比較することを強くおすすめします。
まとめ|月謝の高さには理由がある
改めて整理します。
∙ 水道光熱費:プールの水温・水質・室温管理に膨大なコストがかかる
∙ 人件費:安全管理上、コーチひとりが見られる人数に限界がある
∙ 施設維持費:塩素環境による劣化が早く、修繕・設備更新コストが重い
これだけのコストを抱えながら、月5,000〜8,000円に収めているのは、ある意味ギリギリの設定とも言えます。
「高い」と感じる気持ちはわかります。ただその裏側にある構造を知った上で、無料体験を活用してスクールの質を見極め、お子さんに合った場所を選んでもらえれば幸いです。

コメント